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祇園祭のボランティア精神と自由を見習う必要がある


鉾の建設から解体まで超スピード技は官僚主義では不可能だ
 学生も支える日本の伝統の祭り

 京都の夏の祭典、祇園祭りの中心行事の山鉾巡行が終った。
日本列島を豪雨と洪水のニュースが覆うなか、不思議と今年の祇園祭の天候は穏やかで、宵山も山鉾巡行もたくさんの人出でにぎわった。
 今年目立ったのは、外人観光客の多さだ。欧米や中国からだけでなく、世界中のいろんな国の人たちが見物に来ている。
 
 町に囃子の音が流れ、祇園祭モードが始まると、鉾の建設が始まる。京都の街中を引き歩く先端の高さが20メートル、重量20トンほどもある車だから、組み立て作業は大変だ。
 しかしあっという間に鉾の組み立てが終り提灯に明かりが灯り、京都の夜の町を明るく照らす。鉾が置かれた狭い路地には、屋台店が出て、飲み物、たこ焼き、金魚すくいの店が軒を並べる。
 こうした鉾が全部で9基、鉾より小ぶりの山が23基あり、全部で32基の山鉾が京都の狭い道を巡行する。路地には数十万人にも及ぶ見物客があふれる。警察の交通整理も大変だが、祇園祭期間中に大きな事故は起きない。伝統の祭りだけに、町衆の安全管理も行き届いているのだ。
 山鉾巡行が終ると、すぐに鉾の解体が始まる。まだ巡行している鉾があるのに、役目が終わった鉾は解体されて車庫に安置され、来年の出番を待つ。
 組み立てから解体までの作業のスピードの速さにびっくりする。
 京ことばの印象もあるのだろうが、京都人の気質は悠長、のろいなどの評判はあるが、こと祇園祭りの開始から終了の手際の良さ、スピード感、安全管理の蓄積されたノウハウは、さすが日本を代表する伝統の祭りというべきだ。
 山鉾を管理し、毎年祭りを可能にする京都の町衆の労力と費用の負担は大変なものだ。金銭的な負担だけでなく、少子化で若者が少なくなり、鉾の建設や解体をする労力にも限りがある。
 そういう中で、京都の大学生たちも祭りを支える重要な脇役になっている。山鉾を引っ張る若い衆がいなくなり、代わりに京都の各大学が、ボランティアで山鉾を引く若い衆の役割を引き受けているのだ。
 かつての大学生は京都の頭脳を支えたが、大衆化したいまの大学生は力仕事で祭りを支えている。
 山鉾引っ張り役のボランティの若者の中には外国人もいるし、若い女性もまじっている。

 祇園祭は平安時代に始まった古い祭りで、疫病から人々を守るための厄払いの祭りだった。どの山鉾にもタピストリーや絵画が貼り付けられている。タピストリーの絵や図柄は、インド、中国、ペルシャなどからシルクロードを経たりして日本に伝来したものや、中国、西欧の神話、日本の神話に基づく物語などを表した宗教絵画など様々なものがある。
 山鉾全体に統一的なコンセプトがあるのではなく、それぞれの山鉾が自由な好みで装飾品を選んで自己表現している。そのあたりがいかにも個人主義的で京都らしい。

 京都は外から来るものをやわらかく受け入れるのだ。えり好みはしない。
 かつては御所と幕府の城(二条城)が至近距離に存在していたし、幕末には龍馬など維新の志士や敵方の新撰組が入り乱れて京都を拠点とした。京都人は敵味方の双方を受け入れたのである。

 人間として生きるなら、何をしてもいい自由が京都にはある。
東京とは違う自由な学問や産業、流行も京都から生まれ、日本のあり方を変えてきた。ノーベル賞、世界の京セラ、ニンテンドー、などなど。
 東京の官僚主義は自由を嫌い、何事も規則や規格に人間を押し込もうとする。官僚組織を維持し守るためには人間性の否定も辞さない。
 しかし祇園祭の精神はこれと真逆である。住民の自由なボランティア精神は1000年の祭りを支えてきた。
 これに対し、東京の官僚主義の文化などたかが100年余しか生き延びてはいない。しかもすでに没落が始っている。
 なぜ東京の中央集権文化が行き詰っているかといえば、地位優先の上意下達、スピードがのろく、やる気がない。しかも謙虚さを失って国民をないがしろにし、国民の自由を軽視して、官僚組織に国民を隷属させようとしてきたからだ。
 
 祇園祭りのスピード感と達成感、これを支えるボランティアの人たち、学生、外国人の輪を見るにつけ、いまの東京一極集中の政治と文化の重大な欠陥を思う。権力が集中しているのに、東京はすべてがバラなのだ。政治しかり、官僚しかり、経済しかり、マスコミしかり。
 祇園祭はW杯サッカーと同じで、やればできる精神の宝庫だ。京都に災害が少ないのは、連綿と続く平和な祇園祭のおかげなのかもしれない。 
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