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あの少女は横田めぐみさんではなかったか
軽井沢の鳩山元首相別荘に来日した金賢姫元北朝鮮工作員は何を語る
 1981年、北朝鮮取材のさい、招待所でみかけた少女のこと 

 早朝、金賢姫元北朝鮮工作員が来日、鳩山元首相の軽井沢の別荘に滞在する、というビッグニュースが流れた。
 行き詰まった拉致問題をどう進展させ、解決させるか。韓国の哨戒艇爆破事件に対する国際的制裁の行方が注目される中、拉致問題解決の突破口が開けるかどうか。
 大韓航空機爆破金事件の実行犯である元工作員の来日は、日韓両国にとって、超法規的措置であるだけに、金元工作員の新証言が何らかの鍵を握っているはずだ。
 横田めぐみさんのご両親も急きょ、鳩山邸を訪問して金元工作員と面会し、めぐみさんの消息について話を聞くという。

1981年4月に日朝文化交流団の訪朝時に同行して、新聞記者として初めて北朝鮮を取材したことがある。故金日成主席の時代で、盛大な誕生パーティが行われていた。
 当時は日本人の北朝鮮旅行は少なく、新聞記者でも北朝鮮取材の経験者はあまりいなかった。滅多に行けない珍しい国、という取材感覚だったことを覚えている。当時の北朝鮮はベールに包まれた閉鎖的な貧しい独裁的な社会主義国というイメージはあったが、拉致問題は顕在化しておらず、国内の人権抑圧や政治犯収容所の問題などもあまり知られていなかった。
 
 日本とは国交がないため、中国の北京を経由してピョンヤン入りしたが、当時の印象でいえば、北京はまだ貧しく、ピョンヤンのほうが豊かで華美に見えた。少なくとも、出された食事は豪華だった。

 板門店の軍事境界線(北緯38度線)の見学にゆく途中、招待所に寄って昼食をとった。美味な朝鮮ラーメンが出たことを覚えている。
 食事を終えてふと、売店を見ると一人の小柄な少女が立っていた。15,6歳の可愛いおかっぱの髪の少女だった。売店にはみやげものほかにタバコが置いてあった。北朝鮮製のタバコにまじって、日本のハイライトが目に付いたので、売店のほうへ歩いて行った。
 あつ、ハイライトがあるね、と日本語で話しかけると少女はクスと笑った。どうして日本語がわかるの?と聞くと黙って顔を伏せてしまった。少し話しかけると日本語を理解している反応だった。日本人と話してはいけないんだろうと思い、ハイライトを買い食卓に戻った。
 席に座ってもう一度、売店を見ると少女の姿は消えていた。
 ガイド役の北朝鮮の人に、「あの娘は日本人みたいに日本語がよくわかりますね」、というと、「ええ、帰国子女がいますから」といった。怪訝だった。当時の北朝鮮と日本はほとんど往来がなくなっていたし、まだ学齢期の若い少女が日本からわざわざ行くだろうか。

 この少女のことは頭の片隅にひっかかっていたが、1997年に横田めぐみさん拉致が新聞報道で明らかになった時、明確なイメージを結んだ。
 めぐみさんが拉致されたのは、1977年11月、13歳のときだ。1981年4月に招待所で会った少女は、15、6歳に見えたから、めぐみさんと年恰好は重なる。
 しかも横田めぐみさんの小学生時代の写真を見るにつけ、招待所の少女ととてもよく似ていることに気がついた。

 1997年には新聞記者を辞めていた。その後、米国のシンクタンクに在籍して、北東アジア、北朝鮮問題や南北統一の可能性などを研究したが、拉致問題をジャーナリストとして調査報道する機会はなく、招待所の少女の記憶を封印していた。

 一度、知人のテレビ・プロデユーサーK氏にこの話をしたことがある。「拉致問題が日本で知られているかどうか、横田めぐみさんを日本から来た新聞記者の前に出して、あなたの反応をみたのかもしれませんね」と彼はいった。招待所の少女が一瞬のうちに視界から消えたのは不思議なのだ。
 鋭いニュース感覚をもっていた彼は、その後、惜しくも亡くなってしまった。何かもっと調べてわかれば番組にしませんか、といった約束は、そのままになっている。K氏とは朝鮮半島の冷戦崩壊と南北統一の可能性について、ずっと情報交換をしてきた。
 K氏との約束を反故にしてはならない、といまも思っている。あの招待所の少女が横田めぐみさんだったのか、今からでも確認したい。いまや横田めぐみさんは、朝鮮半島の平和を望む国際世論のシンボルになっている。
 
 1981年にそういう怪訝な体験をしながら、横田めぐみさんの拉致が発覚する1997年まで、噂はありながら、事態を放置していた日本の大マスコミの責任を痛感するし、忸怩たる思いが消えない。

 今回の金元工作員の来日で、横田めぐみさんの消息がはっきりすることを願う。生存しているのであれば、断固たる奪還交渉を鳩山元首相に期待したい。
 米国、中国、韓国の力をフルに借りて、拉致問題解決を実現してほしい。日本の国内の政治勢力の確執、内紛で拉致問題解決の力が弱体化してはならない。了見の狭い島国根性の日本が自国の意見統一もできずに吠えている無力な様子は、相手方に見透かされている。

 とくに日本のマスコミ報道の現状には多大な問題がある。鳩山さんがツイッターでつぶやいていたが、なぜ必要もないのに軽井沢までヘリを飛ばして騒ぎたてるのか。市橋容疑者逮捕護送のときは、新幹線を追跡するマスコミのヘリが登場した。新幹線と競争するヘリ、狂気の沙汰としかいいようがない。
 ものごとがうまく進展しようとすると、マスコミが潰しにかかる。特ダネや視聴率欲しさに、ネタを食い荒らしてしまう。マスコミがネタを食い荒らした後には草木も生えない。拉致問題解決の内部の敵はマスコミなのだ。 
 
普天間では米国に譲歩した鳩山元首相の失地回復の好機でもある。マスコミの餌食にならないよう、粉骨砕身のパワーで横田めぐみさんら、拉致された方々の本格的奪還交渉の開始を願う。
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