<< あの少女は横田めぐみさんではなかったか | main | 国家の合併と18世紀型民族国家の破たん >>
拉致はトップの指令だった
重要な北朝鮮へのメッセージ、金賢姫来日の成果は出ている
 拉致、核廃棄、哨戒艦爆破、の三点セットで国際世論を喚起させよう

 金賢姫来日に国費が投じられ、VIP待遇をしたのは怪しからん、という非難がある。しかし大韓航空機爆破事件の実行犯の金賢姫元工作員が日本に来て、北朝鮮の機密中の機密である事実を話したことの意味は重大だ。
 金工作員の話から、大韓航空機爆破も日本人拉致も金正日の直接の指令によって行われたことが、軽井沢別荘での彼女の直接の証言で明らかになったのだ。
 横田めぐみさん、田口八重子さんに関する証言も、微細な生活習慣や会話、仕草などにおよび、価値の高いものだ。
 横田さん、田口さんが、金正日主席の直接の指令下にあった金賢姫元工作員と密接な交流があったことは、拉致が北朝鮮のトップの指令で行われ、国家が関与し続けた事件であることを物語っている。

 1970年代後半から1980年代におこった北朝鮮のテロや拉致事件に金正日の指示があったとされる背景には、70年代の主席継承問題がある。金日成の後を襲う後継者争いには様々な権力闘争が存在し、軍強硬派を掌握して台頭したのが金正日だった。先軍政治もその表れだ。
 友邦の中国指導部にも息子への権力移譲は社会主義国家の建前に反する、という厳しい反対論があったが、これを退けて主席の座に就いたのだ。

 以降、金正日政権はことあるごとに世界に対する軍事威嚇を繰り返してきた。父親の革命家で主体思想の提唱者・金日成とは別の顔を見せたのである。1976年の田口八重子さん、1977年の横田めぐみさん拉致事件は、北朝鮮の権力移行の過程で起きた。以降、数十人に及ぶと見られる多くの日本人が不当に誘拐拉致され、現在も生死の定まらない不当な拘束を受けている。

 日本人拉致は、米国の求める核の廃棄、韓国の求める哨戒艦爆破の全貌解明とともに、日米韓の三点セットで国際世論に訴えるべきテーマだ。 
 拉致からもう三十数年が経過している。このまま放置すれば亡くなる方も出てくるし、高齢のご両親、肉親も生きている間に会えなくなる。
 拉致問題の戦いは、時間との戦いにある。
 

 緊急な救出、奪還を行うべきだ。諸費税を上げるとか日本のギリシャ化だというが、拉致問題の未解決はギリシャ化よりはるかに悲惨だ。

 金賢姫招待に数千万円の金を使ったことが問題になっているが、その程度の金は、高級官僚の天下り先の退職金額にも満たないのではないか。
 拉致被害者の家族の方々は、金元工作員との会合を喜んでいるし、彼らの長年の精神的な苦痛が少しでも癒されることを思えば、その程度の出費は国民として許容範囲に入るのではないだろうか。
 日本の世論はケチなことをいう、との印象は日本人の決意の薄弱を相手に見透かされる。

 自民党政権時代も含め、長年にわたる拉致問題を解決できない日本政府には、国民が国家に安全保障を付託する力量がないことがわかる。小泉政権時代に数人の方々を奪還したが、本質的な解決には至らず、欠陥のある国家でることを露呈した。

 拉致された国の国民は、旧マカオ、レバノン、韓国、日本が多い。これがもし米国、英国、フランスならどうだろう。各国は軍事力を背景にしたタフな外交を展開して威嚇し、すぐに拉致者を奪還するだろう。フォークランド紛争時、いち早く軍艦を差し向けた英国サッチャー政権の早業を思い出す。

 あるいは、フレデリック・フォーサイスの小説のように、グリーンベレー、機密部隊、外人傭兵部隊などを秘密裏に投入、組織して、夜陰に紛れて作戦を展開し、人質を奪還する挙に出るではないだろうか。
 ある日、突然、横田めぐみさんが、自宅に戻っている。そういう状況を作り上げるのが機密作戦の目的だ。

 相手が拉致の国家関与を認めず、諜報組織の末端が暴走したなどの弁解を繰り返している間は、マトモな外交交渉はできない。だから欧米先進国にはグリーンベレーとか機密傭兵作戦部隊などが存在するのだ。
 かつてケネディはCIAの機密作戦チームに向かって、「諸君の成功は世に称賛されない。しかし失敗だけは喧伝される」といった。

 拉致問題とはその種の事件なのである。マスコミは金元工作員を追って、ヘリを軽井沢まで飛ばしたり、詳細な会話の情報公開を求めている。しかし誘拐事件のとき、犯人に関する情報公開をマスコミはするのだろうか。何のための報道か、その報道の原点を忘れると、遊び半分に堕してしまう。

 金賢姫元工作員の来日は、北朝鮮のトップがテロと拉致の指示を行ったとする明確なメッセージを発した効果は大きい。
 今後、日本はこれを武器にして、米韓とともに北朝鮮とタフな交渉をすることで、拉致問題の重い蓋をもう一度こじ開け、衆知を結集して全面解決に向けた戦略を練る必要がある。
| - | 11:07 | - | - |