CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< May 2019 >>
ARCHIVES
SELECTED ENTRIES
<< 世論調査の怪 | main | 逮捕指示は前原外相、と朝日も報道 >>
戦後の総決算とは、日中戦争の道だったのか?
外交不在の無防備な尖閣意識で中国と渡り合う危険
 平和ボケのくせに、反中国を煽るマスコミは現実を見ていない

 菅内閣は思わぬ伏兵に狙われた。尖閣で逮捕した中国人漁師である。
マスコミの伝えないネット情報では、海保に逮捕を指示したのは前国土交通大臣の前原外相で、記者たちの前で「粛々と国内法の手続きを進めて裁判にかける方針」を語った人物である。
 前原氏の話を聞いて、ずいぶん思い切ったことをする、という印象を持った。下手をすると戦争になるという嫌な予感。
 案の定、粛々という言葉とは裏腹に計算外の大波乱が起き、中国は猛反発、閣僚の交流停止、観光の抑止、レアメタル禁輸など次々と制裁措置を打ち出してきた。とどめはフジタの邦人4人の拘束だ。
 強硬姿勢の背景に、中国内部の保守派や軍幹部が激しく動き、尖閣への軍事出動もやむなしの世論が台頭してきた。
 慌てた日本政府は火消しに躍起となり、逮捕船長を突然、釈放の挙に出る。船長釈放を検察に指示したのは、仙石官房長官だといわれている。

 つまり前原ー仙石コンビによる自作自演尖閣物語のテレビ劇場が、日本国内だけでなく、全世界の注視を浴びることになったというわけである。
 これが大見え切った歌舞伎芝居ならいいが、残念ながら前原・仙石コンビにも菅首相にもリアリズムの外交能力はない。いまや菅政権は単独では、ここまでこじれた日中関係を、自力で解決することは不可能だろう。事態が深刻化するのを、あれよあれよと見ているのではないか。

 鳩山氏が「自分なら温家宝首相と腹を割って話して解決させる」と公言して、顰蹙をかっているが、一番太い中国とのパイプを持つ小沢氏は何をしているのだろうか?

 小沢氏が口出しした天皇会見問題で名前が出た次期主席候補の習近平氏は、中国軍部の8割を掌握しているというほど軍部に影響力がある人物だ。小沢氏がその気になれば、習氏とのパイプを使って中国の反日勢力を少しでも抑えることができ、いまのような膠着状態を打開できるかもしれない。
なぜいま小沢氏は動いていないのか、謎である。あるいは、いま目立ったことをして検察審査会の起訴相当を招くことを警戒しているのだろうか。

 船長逮捕時点では反中国の大合唱、釈放時点では腰ぬけ外交の大合唱で菅政権を非難していたマスコミ報道は、いまやバラバラ支離滅裂で、中国マスコミのようにナショナリズムを純粋に煽ることすらできなくなっている。
 中国の本気を見せつけられて、日本マスコミは腰砕けになっている。
 おそらく空威張りのマスコミは、このまま日中が突っ張れば「戦争になる」ことを実感しておとなしくなったんだろう。
 戦争になったとき、米国が加勢してくれるだろうか、という次の心配も出てきた。核兵器もない日本が中国とマトモに戦争ができるはずはない。
 いままで日米安保で米国は日本防衛の義務があると気楽に米国依存を決め込んでいた輩たちは、ことはそう簡単ではないことに気付いたのだ。
 前原氏の前でクリントン長官は尖閣は日米安保でカバーするといったとか、いわなかったという話がネットで盛り上がっているのも面白い。
 ところが米国が日米安保を発動するには議会の承認がいるし、もともと領土紛争には中立を保つ、という基本姿勢がある。
 友邦のイギリスがフォークランドの領土紛争で戦争した時も、米国は静観していた。
 イギリスは自力でアルゼンチンと戦い勝利し、フォークランド島を奪還した。

 どうやら尖閣紛争の意味そのものが、平和ボケの日本人にはわからなくなっているようだ。「領土問題は存在しない」という前原氏の言い方は、禅問答のようだ。そんなこといってみても、現実には中国や台湾が自分の領土だと主張してる。どうするの?と小学生でも不思議に思うだろう。

 領土紛争を仕掛ける危険はどんな国の指導者でも理解している。相手が仕掛けるのを待って、受けて立って戦争にもってゆく大国もある。

 日本が本気で中国と戦争してでも尖閣を自国領土として守るつもりなら、もっと別の方法があっただろう。

 しかし今回の紛争は、ちょっとやってみたらどうなるだろう、という程度の戦争ごっこの思いつきにしか見えない。逮捕はしてみたが、引っ込みがつかなくなり、検察の責任になすりつけて釈放に及んだのだろう。

 もし仮に本当の戦争にでもなれば、国民はたまったもんじゃない。
菅さん、消費税を上げるっていったころはまだマシだったんだね。次は中国と戦争をしよう、と言い出したようなものだから、危険極まりない。

 あまり知られていないが、中国漁船は黄海の韓国領海にも侵入し違法操業を繰り返している。中韓の領土紛争も抱えている。ここで年間約5000人の中国人漁師が韓国警備艇に拿捕され強制送還されているらしいが、海外にはほとんど知られず、領土紛争があることすら知られない。双方が外交で解決しており、大人同士なんだね。

 これに比べるとわが日本は、たった一度の船長逮捕の処理を間違え、尖閣で領土紛争があることを全世界に知らしめてしまった。菅政権の外交オンチと学級員会内閣のなせる技である。


 この戦争の第一ラウンドは中国の圧勝であった。
 
| - | 20:09 | - | - |