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平和ボケ考
休戦ラインも知らず、北朝鮮砲撃で露わになった平和ボケ・ニッポン
尖閣紛争時のから威張りはどこへやら

 尖閣紛争とビデオ流出で大騒ぎしたマスコミだが、今昔の感がある。
いまは北朝鮮の延坪島砲撃で朝鮮戦争の危機がにわかに浮上している。テレビレポーターたちがしきりに延坪島へ取材旅行して戦場気分を味わっているが、この島が「朝鮮の尖閣」になっているとの分析報道はない。
 かつてのベトナム、カンボジアのように東アジアが世界で最も危険な火薬庫になりつつある現実分析だ。

 金日成政権の時代に北朝鮮を取材したことがあるが、米韓合同軍事演習のさなかだった。軍事境界線に案内され北側から板門店の「自由の家」を見たときも、砲撃の音があたりに轟いて地響きが鳴っていた。
 南北境界線の38度線は「休戦ライン」にすぎず、いつでも戦闘が再開される危険なラインであることを実感したものだ。

 とはいうものの軍事的衝突はあったが民間人を巻き込む実戦が勃発したのは、朝鮮戦争後半世紀以上も経て初めてのことだ。

 長い時間経過もあり、日本人は「休戦ライン」の存在を忘れただけでなく、国連軍の基地が日本にもあることをも忘れていた。いざ、戦争再開となれば、国連軍の基地から空爆機が飛び立ち、日本の港湾から戦場へ向けて米軍の空母が出港し、近海にイージス艦が展開する。

 好む好まざるにかかわらず、日本は朝鮮戦争に巻き込まれる仕組みになっている。

 マスコミ報道はそういう日本の現実をほとんど伝えることはなく、いたづらに北朝鮮脅威を煽りたて、許しがたい暴挙だと、非難している。日本人拉致をはじめ許しがたい暴挙の数々を繰り返してきた北朝鮮をいまさら感情的に非難罵倒しても、何の役にも立たないことがわかっていない。
 相手が反省してやめるとでも思っているのだろうか。日本のマスコミを恐れているのは弱者の日本国民だけだ。北朝鮮にも中国にもアメリカにさえ、足元を見透かされた日本のマスコミの遠吠え論調が届くことはない。

 この事件に対する中国の影響力の大きさに気付いたマスコミは、あれほど非難していた尖閣問題をまったく報じなくなった。お祭り騒ぎだった海保職員のビデオ流出もなかったかのようになっている。犯人の職員がCNNに持ち込んで廃棄されたという”屈辱”の物語もほとんど報道されることはない。
 
 それはさておき、平和ボケ日本としていま何をすべきか。
韓国には徴兵制があり、戦争が始まれば戦地にゆかなくてはならない、という韓国若者の苦悩の声が聞こえてくる。
 一方、平和な日本では大学生の就活の苦労や就職氷河期の悲惨が伝えられる。しかしいくら氷河期でも戦地で生死を賭けなけらばならない韓国の若者に比べれば、天地の差がある。

 しかしそろそろ考えておかなければならない重大な問題が、平和ボケ日本にも出て来るだろう。

 沖縄基地移設などの世論で、日本の米国離れに伴う自主防衛の問題だ。長らく米国の軍事力に依存してきた戦後日本だが、こうした形の依存型軍事同盟は早晩、行き詰まるだろうし、げんに行き詰まっている。
 この行き詰まりが虚構の「平和ボケ」を生んでいる。

 日本に何ができるか、が問われてくる。米国に「思いやり予算」とか「基地提供」とか、金とモノだけ出しておけばいいという話でもなくなる。
 しかし米国も日本の基地がなくなると、世界展開の軍事戦略が成り立たなくなるので、一方的な関係ではないが、防衛力の兵員問題は最重要になる。

 かりに日本が米国から離れて完璧な自主防衛するとすれば、100万人兵力が必要とされる。現在の自衛隊数は約20万。残りの80万をどう補てんするか、大きな課題が残るのだ。

 韓国で徴兵制があるように、日本でも徴兵制が議論される日が遠くはないのではないか。そうなれば平和ボケの虚構も一挙に吹っ飛ぶだろう。

 大学生の就職氷河期がこれ以上続くと、隠れていた徴兵制の論議が頭をもたげて出て来る可能性が高い。
 日米同盟の再構築の仕方によっては、徴兵制を回避する方法があると思うが、現状の日本政府・官僚の危機管理能力の低さを見ていると、とても難問を解決できる力量はないだろう。
 無責任な政治家、政府、官僚がみな自分本位の「平和ボケ」の虚構をエンジョイしてしまっている。日本国民はそのツケを回されて、早晩、苦しむ羽目になろう。基地移設問題でで苦しむ沖縄民衆がその良い見本だ。

 とりあえず、徴兵制の足音が日本にも迫りつつあると若者たちに警告しておきたい。
 
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